メイン | 2007年05月 »

2007年04月26日

日経225先物を始めよう


はじめに

証券会社に入社すると、必ず取得するように命じられるのが「証券外務員」の資格です。

これはⅠ種・Ⅱ種とあり、前者がやや難解(大学を出てもまだまだ勉強は続くんだなぁと実感)。そしてこの部分で先物・オプションなどの金融派生商品(デリバティブ)に関する知識を学びます。

入社一年目では現物取引のお客様のみを担当していた私にとって、先物のような商品はまさに未知の世界。

はっきり言って「私が投資家だったら絶対に手を出してはいけない領域だ!」とさえ思っていました。基本的に小心者なので。

でも・・・知識を深めるにつれて、過剰に恐れる必要はないということに気付きました。

アメリカではデリバティブを駆使したヘッジ・ファンド(代替投資)はザラにありますし、もはや資産運用という概念とは密接な関係にあるようです。

さてさて、前置きはさておき、日経225先物の解説に入っていきます(笑)。

日経225の基礎知識

①日経225先物とは?

現物取引の市場シェアの低下を懸念していた大阪証券取引所が、市場での振興を図る目的で88年9月に実施したのが「日経225先物」です。

今ではデリバティブを代表する金融商品となっており、積極的投資を好む投資家達から注目を浴び続けています。

「先物取引」というのは、将来の一定の期日に特定の数量(金額)を現時点で約定した価格で売買する契約のことです。

期日が来るまではいつでも売買が可能。売買後はその差額の授受により決済します。日経225先物は株価指数の先物ですので、日経平均株価に連動する形で推移します。

(参考)日経225先物の要綱

     取引単位 : 日経平均株価×1.000
      呼び値 : 日経平均株価で10円
    満期日 : 3・6・9・12月の第2金曜
   取引最終日 : 満期日の1営業日前
   委託証拠金 : 取引金額の15%(うちの3%は現金)
低委託証拠金 : 600万円
値幅制限 : 前日の終値から上下約5%
(上下約2%かつ原指数との乖離約1%で15分間取引停止)
 

日経225のメリット・デメリット

ここでは、日経225のメリット・デメリットをそれぞれ見ていきます。

充分な知識を身に付け、冷静に取引ができれば資産運用の強い味方となります。

メリット(1) わずかな資金で大きな取引ができる!

証拠金のみで取引ができるので、少額の資金で大きな取引が可能となります。

メリット(2) 金融資産のリスク軽減が可能!

現物株式を保有している場合、これらの株価が下落するのに備えたリスクヘッジ(危険回避)としての役割があります。

(ex 保有現物株を売っておき、予想通りに株価が下落したら先物を買い戻す。先物は高いところで売って安くなったところを買い戻すので利益が出る。この利益で損失をカバーできる。)

ただしデリバティブならではのデメリットがあることを忘れてはいけません。

デメリット(1) 決められた期日内に取引をしなければならない!

現物の株式であれば長期保有可能となりますが、先物の場合は期日が決まっています。仮に損失が出たとしても、期限になれば自動的に決済されてしまいます。

デメリット(2) 損失額が大きい!

メリット(1)で述べた「少額の資金で取引可能」というのは、裏を返せば損失した場合の金額も大きくなるということを表しています。 知名度が高く取引人口も増えつつあるとはいえ、デリバティブである以上投機的な色合いが強いということを忘れてはいけません。

日経225に向いている人は?


日経225に向いているのはいったいどういった人でしょうか?私が思う日経225に向いている人は下記のような方です。

(1)情報収集を楽しめる方

日経225に限らず、投資・投機的商品で利益を得ようとするには、やはり情報収集は欠かせないもの。「日本経済新聞」の購読はもちろんのこと、余裕があれば「月間金融ジャーナル」や「東洋経済」「エコノミスト」などの情報誌にも目を通したいところです。

ちなみに日経新聞の月曜朝刊に載っている「景気指標」の記事はかなり役立ちます。(後述の「情報収集先」の項目記事もご参照ください。)

「経済の現状」の把握・理解なくして、投機の世界で勝者となることは不可能です。

情報収集というと畏まったイメージですが、カフェでコーヒーでも飲みながら気軽に目を通してみるといった形でも良いでしょう。とにかく「情報を収集することが苦にならず、楽しめるぐらいの方」は投資に向いているといえるでしょう。


(2)リスクをも資産と考えることができ、取引自体を楽しめる方。

ハイリスクとされる日経225のような商品でも、

「安全資産と危険資産を上手に使い分ける」

という概念が生まれると、有用な資産として考えることができます。

まずは「危険資産」を「有用な資産」と捉えることが肝心です。

また、イギリスの経済学者・ケインズは「人間の深層心理には、手っ取り早い金儲けに特別の楽しみが潜んでいる」と述べています。しっかりと知識を貯えた上で、ゲーム感覚で楽しむことが必要です。

やはり皆、金儲けはしたいものですが、それを楽しむか楽しめないかは、本人の心構え次第です。楽しめなければ取引をすること自体が苦しくなってしまいますので、この心構えというのも大変大事な点です。

日経225は投資の中でもハイリスク・ハイリターンの商品ですので、リスクを楽しめるか、楽しめないか、というのは大変大事なところです。上記はあくまで判断指標の一部ではありますが、ご自身が日経225を始める際の参考にしてみていただければと思います。

取引手順について

まずは日経225先物の取引手順についてです。


①取引開始の手順

(1)取引証券会社の選定・・・手数料のみに気を取られずに、総合的に判断しましょう。

(2)口座開設・・・一般の株式口座ではなく、先物専用の口座を開きます。

(3)注文・・・感覚的には株式の信用取引と同じように、「買い」からでも「売り」からでもOK。


②慣れてきたら

(1)裁定取引

現物相場と先物相場には市場の相場観、売買の需給の関係により、価格にズレが生じることがあります。現物と先物の価格のズレが生じた時に、割高の方を売り、割安の方を買ってサヤを取るのが裁定取引です。

(2)リスクヘッジ効果を狙う

メリットの項目でも述べましたが、目先相場全体が下げそうだなという時に日経225先物を売り建てて、リスク回避をすることができます。

ただし現物と先物の価格が完全に連動するとは限らず、手数料などの諸経費も発生する為、損失を完全にカバーするのは難しいのですが、損失補填の有効な手段となります。

証券会社の選び方

①証券会社を選ぶポイント

証券会社を選ぶ際、多くの人が手数料を重視すると思います。

もちろん手数料は重要な項目のひとつですが、デリバティブを取引するとなれば総合的な判断をしなければなりません。

売買執行速度・情報量なども加味する必要があります。

手数料・取引の速度などを考慮して選定した証券会社と、情報収集のみを目的として選定した証券会社にそれぞれ口座を開設する投資家も多いようです。

つまり用途に合わせて複数の口座を持つということです。ここでは手数料のみではなく、そういった総合的な見方で選定した証券会社をご紹介いたします。


②オススメ証券会社

イー・トレード証券

イー・トレード証券

格安の手数料と豊富な情報量。そして入金後すぐに売買可能なのでチャンスを逃さない。

口座開設者数、預り資産、月間株式売買代金でオンライン専業証券会社中で1位(2006年12月末時点)。ネット証券としては最大手。

HPはこちら → イー・トレード証券

リテラ・クレア証券の日経225

老舗証券会社のリテラクレア証券です。

投資信託、くりっく365(FX)、投資信託、日経225とそれぞれの投資方法をご用意。

HPはこちら → リテラ・クレア証券の日経225

ひまわり証券

ひまわり証券

日経225に関しては手数料一律1890円。

インベスターズ・アカデミーというネット上の投資講座(無料)や各種セミナーなどが豊富で、デリバティブの基礎知識を学ぶことができる。業界内では先物・オプションなどに強い証券会社だという見方が強い。

HPはこちら → ひまわり証券

マネックス証券

マネックス証券

注文方法が豊富にあり、積極的な投資家からの人気が高い。

日興シティグループのアナリスト情報なども充実しており、円滑に取引を進めることができる。インターネット上での投資講座「マネックス・キャンパス」も好評。

HPはこちら → マネックス証券

トレイダーズ証券

トレイダーズ証券

日経225に特化しているといっても過言ではない会社。

手数料は他社と比較すると若干高いと感じるかもしれないが、約定スピードには定評がある。

現物の取引経験がない状態での先物取引開始が可能という珍しい営業スタイルを採用している。セミナー・スクールも充実しているので、まさに先物初心者には優しい会社だといえる。

HPはこちら → トレイダーズ証券


インヴァスト証券【INV@ST日経225】

◆日経225mini手数料キャンペーン ◆10月末まで、日経225miniが最安の手数料片道 42 円!


◆通常手数料も業界最低水準◆

日経225先物:片道420円
日経225mini:片道52.5円
日経225オプション:約定代金の0.189%

◆通常注文に加え、逆指値注文、バスケット注文など特殊注文も充実

■ポイント媒体の申請は不可
■金融・投資・資産運用関連の媒体のみ提携可

HPはこちら → インヴァスト証券【INV@ST日経225】

情報収集について

先にも述べたように、日経225先物は日経平均に連動していますので、国内全体の経済指標を参考にしなければなりません。

個別銘柄の取引であれば、その企業の業績などを調査するのが先決となりますが、この場合は国全体の景気・物価・金利といった、いわゆるマクロ経済要因の現状把握が必要となります。

また、アメリカのダウ平均株価や円相場の推移などの国際経済にも敏感にならなければいけません。

口座を開設している証券会社からの情報もかなり役立ちますが、それ以外にも参考となる資料が多数あります。


WEB資料

大阪証券取引所ホームページ

「先子さんの先物取引Class」というコーナーがあり、先物取引の基礎から応用まで
を伝授。

東洋経済web~オール投資DIGITAL

東洋経済新報社が運営する投資情報サイト。関連書籍の紹介も豊富。


定期刊行資料

年単位:

「通商白書」(経済産業省編)・・・日本の通商及びこれに関する世界経済・貿易について調査・分析したもの

「経済白書」(内閣府編)・・・国民経済の年間の動きを分析したもの。消費動向などが記載されている。


月単位:

「月刊金融ジャーナル」(日本金融通信社編) ・・・金融総合専門誌。学者・アナリストなどが総力を結集。

「金融」(全国銀行協会編) ・・・金融、財政、経済一般に関する論文、統計資料など。別冊に全国銀行財務諸表分析がある。

「日本銀行月報」(日本銀行編)・・・日銀が個人消費・公共投資・物価・雇用者所得、住宅投資などを評価。 


週単位:

「東洋経済」(東洋経済新報社編) ・・・経済の「今」を伝える。日本を打表するビジネス誌のひとつ。

「エコノミスト」(毎日新聞社編)・・・国内に留まらず、国際経済の領域も網羅。 新鮮な経済ニュースを提供。

「金融財政事情」(金融財政事情研究会編)・・・ 金融機関経営を始め、金融行政、金融政策に関する最新動向が掲載。


日単位:

「日本経済新聞」(日本経済新聞社編) ・・・知名度ナンバー1。経済・金融の入門書としても。

「日経金融新聞」(日本経済新聞社編)・・・証券会社の社員は大体読んでいる。投資情報満載。

書籍

先物・オプション取引入門
先物・オプション取引入門」 (ハル,ジョンC.著 ピアソン・エデュケーション)・・・仕組みがわかる。入門書としてオススメ。

ビジネスマンのための金融工学~リスクとヘッジの正しい考え方
ビジネスマンのための金融工学~リスクとヘッジの正しい考え方」 (ドージェ・ブローディ著 東洋経済新報社)・・・「金融工学」という学術的な側面から、デリバティブをわかりやすく説明している。